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<注意⚠️ 手術の画像が含まれますので、苦手な方はご注意下さい>
膝蓋骨脱臼
・膝蓋骨とは?
膝蓋骨とはいわゆる「膝のお皿」のことで、大腿骨(太もも)の溝にはまっている骨です。
膝蓋骨脱臼とは、この膝蓋骨が内側もしくは外側にずれてしまう病気です
膝蓋骨の位置→
膝蓋骨→
溝→
正常:膝蓋骨が溝にはまっている
←膝蓋骨
異常:膝蓋骨が溝を通り越して脱臼している
溝→
膝蓋骨脱臼
・膝蓋骨脱臼の重症度分類
膝蓋骨脱臼は、重症度に応じて4段階にグレード分類されています。
グレード1:膝蓋骨は常にはまっている。
膝蓋骨を指で押すと脱臼するが、押すのを止めると元に戻る。
グレード2:膝蓋骨は常にはまっている。
自発的に脱臼する頻度が多い。自分で膝の曲げ伸ばしをして、元の位置に戻すことが出来る。
歩行異常が時折認められる。(スキップをするような歩行をする、足をあげたままになるetc...)
グレード3:膝蓋骨は常に脱臼している。骨格変形が顕著に認められる。
徒手で元に戻すことが出来る。
歩行異常が頻繁に認められる。
グレード4:膝蓋骨は常に脱臼している
手で元に戻すことが出来ない。
早期に手術をしないと骨格や靭帯に重度な変形が生じ、修復不可能になることがある。
・膝蓋骨脱臼の治療
上記のグレードによって治療方針が異なります。
(獣医師によって様々な見解がありますが、当院での治療方針をご説明します。)
グレード1:経過観察
グレード2:歩行異常の頻度が増えてくるようなら、手術を検討する。
グレード3:手術を行う。
グレード4:早急に手術を行う。
・グレード1で、脱臼の際に痛みを伴うことがある場合は、短期間痛み止めのお薬を使うこともあります。
グレード2以降は手術適応となります。
グレード2でも無症状の場合は、経過観察になることが多いです。
グレード3の場合は常に膝蓋骨が脱臼しているため、そのままにしておくと将来的に膝の靭帯を痛めたり、関節炎になる恐れがあるため手術を積極的に検討します。
グレード4では早急な手術が必要になります。骨格変形が重度の場合は、大学病院等の整形外科専門病院へご紹介させて頂くことがあります。
・膝蓋骨脱臼の手術
症状の程度や骨格変形の重症度に応じて、以下の手術手技を組み合わせます。
①滑車形成術
膝蓋骨がはまっている溝を深くします。
②筋肉および支体の開放と縫縮
膝蓋骨を内方や外方に必要以上に引きつけようとする筋肉を切り離し、正しい膝の関節構造へ戻します。
③脛骨粗面転移術
脱臼に伴いずれてしまっている脛骨(ふくらはぎの骨)の一部を切り取り、正しい位置へ移動させます。
④大腿骨矯正骨切り
大腿骨(太ももの骨)に骨格変形がある場合に行います。大腿骨の一部を切り取って短くすることで、正常な構造に戻します。
→大腿骨を削る→
レッグ・カルベ・ペルテス病(大腿骨頭壊死症)
・成長期に大腿骨頭への血行不良が原因で、大腿骨頭が壊死してしまう病気です。
壊死する原因は不明ですが、特定の犬種(トイプードル、ヨークシャーテリアなど)での発生が多いことから、何らかの遺伝的な要素が疑われています。
若齢期での発生が殆どで、平均7ヶ月齢で発症するとも言われています。
<症状>
・後ろ足を上げて歩く(3本足で歩く)
・後ろ足を触ると痛がる
・足をちょこちょことつけて歩く
<診断>
・触診:股関節を伸ばした時に生じる痛みを触知する
・レントゲン検査、超音波検査:大腿骨頭の変形、不整を確認
・CT検査:レントゲン検査では診断がつかない時に行うことがあります。
<治療>
・壊死している大腿骨頭の切除(大腿骨頭骨頸部切除)
殆どのケースで、外科手術が必要になります。
動物は痛めている足を使わないため、どんどん筋肉が落ちてしまいます。そのため手術は成功しても、筋肉が落ちた足を使うようにするために長期のリハビリが必要になってしまいます。
若齢期のワンちゃんが急に後ろ足を上げて痛そうにしている時にはすぐに病院を受診しましょう。
変形した大腿骨頭 正常
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